池田晃将×川島織物「螺鈿帯」
池田晃将の京都初個展を記念して、夜光螺鈿帯「百千虚空」、夜光金彩螺鈿帯「累六界」の2点の螺鈿帯を発表いたします。
螺鈿、漆、金、プラチナといった素材が布とは思えない光沢、そして重厚感を魅せます。
伝統と革新を織り交ぜたまったく新しい作品となっております。
池田晃将の螺鈿
池田晃将の手によって加工された螺鈿と漆の施された和紙はプラチナもしくは金などの地に宇宙を感じさせます。
和紙から糸へ
織り込むために裁断して細い糸へと形状を変化させます。1本1本が帯となった際の絵をつくる要素でありながら、輝く糸は既にどこか幻想的な印象を受けます。
織り込み絵が浮かぶ
糸状へ加工されたそれらを緯糸に織り上げて参ります。池田晃将の図が、極小世界での調整を以てゆっくりと描かれる様子は、まさに超絶技巧です。
極小世界
ドットのような点描を思わせる極小の螺鈿と金が、集積やその崩壊といった池田晃将の作品らしい表現として厳かに光を放ちます。
美が誕生する美しい世界
技術開発
美しいものが誕生する世界というのは、どこまでも極めようとすることは当然に、革新であり続けようとする使命感であると、その極限の制作風景が物語ります。
池田晃将の伝統を重んじた上での他の追随を許さぬ革新から、この度、個展を開催する京都の老舗であり伝統と革新を展開する株式会社川島織物セルコンとのコラボが実現しました。
また、集積およびその分解と再構築を思わせる池田晃将の作品が織という表現方法と合致していました。
しかし、池田晃将の描く図は従来の方法で表現できるものではなく、株式会社川島織物セルコンの技術開発力と表現者に対する理解があってこそ成し得たものです。
池田晃将のみが可能な螺鈿と漆の技術、それを織り込むために試織を重ねながらCGなどの最先端技術でシミュレーションを行い生み出された螺鈿帯は、正しく池田晃将の作品でありながら、和装業界への挑戦と言えます。
恐れぬ挑戦
伝統と革新を両立することはとても困難です。工芸と美術、もしくはデザインと技術の境界線のように揺らぎ時代に流されます。しかし、革新がなければ衰退してしまい、いずれ繁栄の残滓となってしまいます。
批判を恐れぬ池田晃将の作風を落とし込んだこの螺鈿帯は、挑戦的なものとなっています。伝統と最新の技術を以て、和装の常識に問い掛けるような作品です。着るものという前提をクリアした上で美術品としての価値を最大限に放つ帯は、確実に未来をも脅かす逸品です。
工芸と美術、デザインと技術、また芸術と文化が両立し得る池田晃将の作品に未来を感じずにはいられません。
伝統と革新を魅せる
未来が現代に
伝統と革新を以て成る池田晃将の作品は、同じく歴史と挑戦が重なる新風館にて展示されます。帯もまた、それと同じく今までにない方法にて展示いたします。
是非あなたの目で、超絶技巧が生み出す逸品をご覧いただければ幸いです。
また、感染症対策などの観点から来場が困難な方でもお楽しみいただけるようこのウェブサイト上でもできる限りの情報を提供できるよう進めて参ります。現代であるからこそのアートの展示企画として、尽力して参ります。